憂さ晴らし






昼間は静かな遺跡に響くのは、銃撃の音。
絶え間無く聞こえるその音を聞きながら、皆守は壁に凭れ、呆れた顔で音の発信源を見る。

そこには複数の化人に囲まれながらも、軽々と攻撃をかわして銃弾を浴びせる九龍の姿がある。
攻撃が当たるギリギリの所で避け、両手に持った銃で、急所から外れた場所を狙い撃つ。
慣れない人間が見れば、危なっかしくて見ていられない。
慣れた人間が見れば、じわじわと殺していく、その趣味の悪さに目を逸らしたくなる。

「銃弾の無駄だ、ありゃ」
「何か苛立つことでもあったんじゃない? いつも以上に、時間がかかってる」
「チッ……、ここはアイツのストレス発散所かよ」

舌打ちをし、頭を掻く。イライラしている時の皆守の癖だ。
隣に立つ皆守の様子を目だけで見ると、龍麻はすぐに手元のH.A.N.Tに視線を落とした。
九龍が戦っている間に、今日探索した分の遺跡のデータをまとめるのだ。
これは九龍と龍麻が交互に行っていることで、今日は九龍が戦闘担当、龍麻がデータ収集担当なのだ。次に潜る時には、担当が逆になる。二人は役割を分担して、遺跡探索を行っているのである。

必然的に連れていくバディは一人が限度。誰を連れていくか、決めているのは龍麻のようで(九龍は二人きりで潜りたい、と心底思っている)大抵は皆守が選ばれる。
九龍が戦闘を担当する時は、必ずといっていいほど皆守を連れて来ている。
それは、九龍の戦い方を他の仲間たちに見せたくないからなのか。
その理由を龍麻は語ろうとしない。

「いつか、ぶっ壊しそうだな。…………何もかも    」

掠れてしまった語尾は、龍麻の耳には届かなかった。
しかし、皆守が何を言ったのか、想像がついた龍麻は微笑を浮かべるだけ。
指先はH.A.N.Tの上を滑るように動く。カタカタという、キーボードの小さな音。
目を閉じて、皆守はラベンダーの香りだけに意識を飛ばした。
何も考えたくない、とでもいうように。

遠くから、化人の断末魔が響いた。




***
夜、遺跡探索中。
探索風景を書いたのは初めてです。
これで双龍版の探索方法が判明したような(自分中で)
銃器をメインに攻撃します、じわじわと。いや〜ですね。鬼畜九龍。
2005,10,15