文字から伝わる、
12.旧友 ―― 2006.01.22



昼が過ぎた頃、龍麻は目覚めた。
日曜日だったので、目覚ましをかけることなく思う存分、睡眠を貪った結果だ。
まだ眠り足りないという体をなんとか動かし、時間を確認しようと、ベッドヘッドに置いた携帯に手に取った。
新着メールを意味するアイコンが表示されていたので、受信ボックスを開けてみる。
そこには見慣れた名前がずらっと並んでいた。

「…………すごい数」

かつての仲間である口煩い陰陽師から持たされた携帯には、数えるのも面倒なほどのメール。 電話帳登録はすでにされた状態で渡された。
ということは、相手にもこの携帯のアドレスを知っているのだろう。
それは別にいい。教える必要がないので、こちらとしては助かる。

龍麻がこの携帯を持たされてから1、2週間は経っていた。
その間、度々メールがくることはあったが、今日ほど大量にきたことはない。
一体どうしたんだろう、とメールを見ていけば、どれも龍麻の身を心配するものだ。
『大丈夫!?』とか『側に行くことができないのだから、無茶はしないで』とか『少しは自分の身を大切にしてくれ』とか『無理しないでね』とか『君に怪我を負わせるような奴らなど放っておいて、早く帰ってきてくれ』とか『貴方は馬鹿ですか?』とか色々。

「…………どこから漏れたんだよ」

予想が簡単につくだけに、後から直々に説教を受けることになりそうで朝から気が滅入る。
盛大なため息と共に、顔からベッドに倒れ込んだら、衝撃で鋭い痛みが背中を走った。

金曜の夜、取手と皆守を連れて遺跡に潜った時だった。
皆守の背後を、倒し損ねた化人が襲いかかろうとしていた。
咄嗟のことで倒すことよりもまず、皆守と化人の間に入り込んで庇った。
その時、龍麻は背中に傷を負ったのだ。

幸い、出血はしたものの重傷に至る傷ではなく、龍麻の治癒力ならば痕が残ることなく完治するだろうと瑞麗に言われた。
悲痛な顔で心配する取手と皆守も、それを聞いて安心したようだった。
2、3日寝てれば治るだろうから、特別気にしていなかった龍麻だが。

どこからどう察したのか。
きっと情報の発信源は大袈裟に皆に言ったに違いない。
なにせ、かの忍者は龍麻に関しては必要以上に心配性なのだから。
捻挫が骨折、スリ傷が刺し傷、ふらついただけでも入院させかねないほどに大袈裟にとる。
まぁ、過去に色々とあったから、そうなんだろうけど。

仲間たちに会ったら、口々に文句を言われそうで、それを思うと憂鬱になってくる。

「…………あいかわらず。心配性な奴ら」

口から出てくる言葉には、うんざりしつつも嬉しそうな色が含まれている。
携帯の画面を見ている龍麻の顔は、幸せそうに微笑んでいた。