秘密をまとうのは美しい彼
07.実年齢 ―― 2005.10.26
「龍麻サンの、ホントの年っていくつッスか?」
話しかけられた龍麻は本棚へと伸ばしていた手を引っ込めて、後ろを振り向く。
机に頬杖ついた九龍が、上目遣いで龍麻を見ていた。
放課後の図書室には、いつもいるはずの七瀬の姿は無く、龍麻と九龍の二人しかいなかった。
穴が開くんじゃないか、というくらい見つめてくる九龍に、クスリと笑うと、もう一度本棚へと手を伸ばして目的の本を取る。
ぱらぱらとページを捲りながら、龍麻は言った。
「調べたんじゃなかったのか? 日本に来る前に《協会》に寄ったハズだろう」
「……そんなこと聞いてる余裕なかったんですよ。早くコッチに来たくて」
「確かに、俺が転校してから1週間もしないうちに来たな」
「えぇ。ちょーっとお願いして、フルスピードで手続きしてもらいましたから」
にっこりと笑った九龍の顔は、無邪気に見えるけれど、その裏では非道なことも平然とこなす二面性がある。危険で残虐で、冷酷な一面が。
普通なら気付かないような、隠された裏の気配を、他人の《氣》に敏感な龍麻は直に気付いた。
それでも、九龍を避けるようなことはしなかった。
その理由はとても簡単で、ただ、九龍を放っておけなかったのだ。
昔から変わらず、面倒な相手ほど構ってやりたくなる龍麻であった。
目線を本から離さず、唇の端を上げて笑う。
華やかな笑みではなく、どこか策士的な冷たさを感じさせる、ソレ。
龍麻の完璧ともいえる微笑に、九龍は声を失くして見惚れる。
どんな表情を見せても、何をしていても、一枚の絵のようにキレイ。
やっぱり手に入れたいと、九龍はあらためて思った。
「"脅し"の間違いじゃないの?」
「あはは。で、いくつッスか? 教えて下さいよ」
「……………… な い し ょ 」
( 秘密をまとって綺麗になるのは、女だけじゃない )