遠き地で
01.間違い ―― 2005.08.09
「人違いだって、何度も言ってるんですけどね」
高齢を感じさせないしっかりとした足取りで、龍麻の前を歩くのはサラーと名乗る男。
白の布で頭をすっぽりと被り、胸には複雑な模様が掘り込まれたペンダント。
慣れた足取りで遺跡の中を歩くサラーの数歩後ろを、龍麻は歩いていた。
腕を引かれるようにして、連れてこられたのは地下深くにある遺跡。
その途中、何度も人違いだと訴えたのだが、何をどう勘違いしているのか、全く信じようとしない。
最後には、諦めた。
手に持っているのは、ずしりと重みのある銃。
コンバットナイフを腰のベルトにさし。
初めて着たアサルトベストには爆薬が数個と補充用の弾丸。
高校時代に一般人らしからぬ体験をした龍麻だったが、さすがに本物を手に持つ日がくるとは誰が予想できようか。
「…………でも」
俺もまだ人に見られてるってことかな。
すうっと冷たい光が一瞬宿る。
僅かに放たれた《氣》に反応して、大地が拍動する。
龍麻は流れるような手つきで銃を構え、そして地を蹴った。