嘘だらけの僕と君
20.愛 ―― 2005.11.21
べらべらと、つらつらと。
流れるように九龍の口から出てくるのは、飾り立てられた甘い嘘。
よくもそこまで頭と口が回るものだと、いつも感心してしまう。
「バーカ。本気じゃないから、言えるんだろ」
聞いてみて、返ってきた答えがこれだ。
甘い嘘とはかけ離れた、冷たい事実。
そんな所だろうとは思っていたが、実際に言われると驚く。
目を見開いて茫然と目の前の九龍を見ていたら、手にしたシャーペンをくるりと回し。
シャーペンの先を俺に向けた。それの行き付く先には、眼鏡の壁と紅い色をした瞳。
じっと、狙い澄ましてこっちを見ている。
「必要以上の信頼は、自分の死に繋がりかねないからな。それに」
くるり、とまたシャーペンを回すと、ノートを写す作業に戻る。
ペンを持った手とは逆の手で頬杖をつき、視線をノートに落とす。
「俺、そういうの信じてねぇし」
俺、にんじん嫌いだし。
そう言った時と ( コイツは人参だけじゃなくピーマンと茄子も嫌いだ。幼稚園児みたいな味覚してやがる ) 同じ音程、同じ口調で言った。
別にそれくらいなんでもない、といった感じだ。
自分のことなのに、それほど重要じゃないといった感じ。
嘘だな。思った言葉は、声にならなかった。
( 愛を信じてないけど、愛は欲しいくせに。
現に龍麻に対して、そうなんだから。見てれば分かる。
偉そうに言ってるけど、結局、俺もコイツと同じかもしれない )