ば れ た
16.窃盗及び銃刀法違反 ―― 2005.10.20
踏み入れたそこは、未知の世界でした。
「…………、あいかわらず汚ねぇ部屋」
「開口一番にそのセリフって、かなり失礼」
「いや、これは……誰が見ても同じ事を言うと思うぞ」
床一面に広がるのは、恐らく調査資料の一部と思われる、日本語ではない言語で埋められた紙。
その紙に紛れるように、九龍が拾ってきた物の数々。一体それは何に使うんだ、と聞きたくなるようなものから、明らかに危険な薬品が無造作に放置され。電源が入ったままのパソコンが置かれた机の上には、分厚いハードカバーの本が積み重ねられている。
ベッドの上には脱ぎ散らかした服。アサルトベスト。
部屋の隅に置かれた大きいダンボールの中に、大量の黒板消し。
半開きのクローゼットから覗くのは、日本刀やMP5A4、銃弾に爆薬、鞭、ハリセン。
統一性があるんだか、ないんだか。
呆れる、というよりも諦めたような溜息をつく皆守を見て、九龍は開き直って言う。
「いーんだよ。どこに何があるか、俺が分かってればいいんだから」
腰に手を当てて、偉そうに胸を張って宣言する九龍。
横目にそれを見ながら、机脇、大量の紙で隠すように置かれたダンボールに目がいった。
何を隠しているのかと気になって、ダンボールの方に近付いた。
九龍が慌てて止めようとしたが、それよりも早く皆守は、1番上に置かれた紙を払いのけた。
「…………おいおい」
出てきたのは、ダンボールにどっさりと積め込まれたレトルトカレー。
一緒に入っている炭酸飲料と中国酒の出所は分からないが、明らかに、この、カレーは。
「テメェの職業は、泥棒か?」
額に青筋を立てて、ゆっくり振り返る皆守の顔は、本気で怒っている。
地を這うように低い声、ギロリと睨み付ける目。
背中を嫌な汗が流れた。たらり、と。
「な、な……何を言ってるのさ、甲ちゃん。《宝探し屋》だって最初に言ったじゃん。新人新米凄腕期待の星のトレジャー・ハンターですよ」
いちおう、と続く声は、語尾になる程に小さくなった。
一歩一歩近付いてくる皆守に対して、九龍は後ずさりする。
バレないように隠していたのだが。
カレーについては人一倍、いや人の三倍はこだわる皆守。
どうやったらこの状況を打破できるのか、その方法を探すので、九龍の頭は必死になっていた。
その後、2週間。
マミーズにて、皆守にカレーを奢る九龍の姿が確認された。