合言葉は「だって嫌いなんだもん」
10.実は少し苦手 ―― 2005.09.05
奥のテーブル席。入り口から一番遠い席。
電飾の関係で他の席よりも薄暗く、背の高い観葉植物で隠れている。
でも、大きな窓があるので自然光が入ってくるし、眺めも悪くない。
あまり人目のつかないその場所は、学園でも有名な3人組の指定席だ。
「…………………………」
「……………………オイ」
「あ?」
低い威嚇するような声で、皆守が九龍を睨み付ける。
睨まれた九龍も睨み返すが、その手は止まる気配がない。
ひょいひょい、と九龍の皿と皆守の皿を往復するスプーンには、オレンジ色の物体が乗っている。
「ニンジン、ちゃんと食べなよ」
「だって嫌いなんデスよ。そうだ、龍麻サンが食べさせてくれるなら食べます」
「ならカレーを食うな」
「カレーは好きだから」
何でも食べるイメージのあった九龍だが、実はニンジンとピーマンとナスが苦手だった。
食べれないことはないのだが、食べなくていいなら食べたくない、というのが本音。
「子供だな」
「うるせぇ」