優しい君へ、
07.捻挫 ―― 2005.10.10



ひょこ、ひょこ。
ケガをした足に負担をかけないようにして歩くものだから、自然と違和感のある歩き方になる。
いつもの速度で歩くことができないので、隣を歩く皆守の歩調も自然とゆっくりになる。
これが九龍でなかったならば、気にせず歩くのだが。
そんな無意識の行動から、自分にとって九龍は特別な位置にいる人間なのだなと思う。
理性では否定していても、本能の部分は九龍を必要とし、特別だと認識している。

留まることを知らない感情は、今はまだ蓋をしておくことが可能で。
けれども、増え続けるそれが、いつか漏れ出してくるのではないかと不安になる。
まるで時限爆弾。
それを知らない九龍は、リミットを減らす作業を毎日飽きることなく繰り返す。

「階段から落ちた子を助けたんだ。落ちてきた所を抱きとめて」
「それで、自分が怪我したのか?」
「足捻った程度だから。心配しなくても、へーき」
「ったく」

どこまでも。
コイツは他人に優しい。自分以外の他人にも。
誰にでも分け隔てなく分け与えられる優しさが、自分だけに与えられないかと願う。

そんなことを願うどころか、思うことすら、許されないというのに。

九龍のそんな優しさすら、リミットを減らす行動にしかならない。
嫉妬、という負の感情。
独占欲、という身勝手な感情。

自分で自分の首を絞めていることに、彼は気づいているのだろうか……?



なんでこんなに暗くなったのか、不明。明るく行こうと思っていたのに……ッ
皆守思考だからでしょうか…?