唯一無二を探す僕
04.秘宝 ―― 2005.08.18



「これが《秘宝》ねぇ……」

くしゃりと右手で銀髪を乱し、咥えた煙草に歯を立てる。
眇めた瞳の色は、鮮やかな赤色。
ついさっき手に入れた《秘宝》を、その目は冷たく眺めていた。

石に刻まれた古代の文字を読む能力までは、さすがに取得してなくて。
一体何が書かれているのか、全く想像もつかないし、興味もない。
とりあえず、壊れないように丁重に袋の中に仕舞い込む。

「俺の興味を引くよーな《秘宝》とか、ないもんかねぇ」

墓守との戦闘で荒れている遺跡の中、九龍は比較的すっきりした場所を見つけて地べたに座る。
H.A.N.Tを取り出し、任務完了と《秘宝》の引渡場所を確認するメールを送る。
こうしておけば遺跡から脱出した頃には、入り口で《協会》の人間が待っているだろう。

「ま、そんなのがあったら《協会》をぶっ潰してでも、俺のものにしちゃうけどね」

たくさん、なんて贅沢なことは言わない。
欲しいのはただ一つ。
今までの価値観を一瞬でふっ飛ばしてくれるような。
自分の全てを支配してくれるような、そんな《秘宝》。
人でも物でも構わない。ツマラナイ人生に、鮮やかな色彩を与えてくれる何か。

「ビジンなお姉さんなら、ラッキーだけど」

そこまで言っておきながら、何言ってんだか……と自嘲する。
勢いよく立ちあがり、仕舞った銃を取り出し右手に滑り込ませる。
ぎゅっと力強く握り、短くなった煙草はポイッと投げ捨てる。
重力に逆らうことなく地に落ちたソレを、圧底の靴で踏み付けた。