※注意※ もし仁王が氷帝に転入してきたら……、というパラレル話です。


はじめましてどうぞよろしく
Nio×Atobe


普段は静かな朝の教室が、今日に限っては騒がしかった。
その原因というのが、今、担任の隣に立って気だるそうにしている男。
後ろで一つに括った銀色の髪。着崩された制服。踵を潰してはいた真新しい靴。
両手をポケットに突っ込み、やや後ろに重心を置いて立っている姿は様になっており、女子の熱い視線と男子の敵視を一身に集める。
跡部や忍足並みに整った容貌の転入生に、特に女子は色めきだっていた。

「転入生の仁王雅治君だ。みんな、仲良くするように」
「立海大附属から来ました。よろしく」

そっけない挨拶。媚びを売ろうとしない所がまた魅力なのか、女子生徒は我先にと質問を彼に浴びせかける。仁王は面倒臭そうにしながらも、その質問に答えていた。
質問攻めにあっている仁王を楽しそうに眺めながら、忍足は後ろの席の跡部を見る。
跡部は頬杖をついて窓の外を眺めていた。興味なし、という風を装っているように見えるが、実際はものすごく気にしている。必死でそれを隠しているのだが、忍足にはそれが手に取るように分かっていた。

「まさか跡部を追っかけて来たんとちゃうよな?」
「んな訳ねぇだろ。どんな想像してんだよ、テメェは」
「ありえそうやん。結構、無茶してそうやで」
「お前に言われたらおしまいだな」
「はは、否定はせぇへんけど」

楽しそうに笑う忍足が、跡部は何故だか腹立たしかった。



仁王の席は、テニス部関係で交流のあった跡部と忍足の側が良いだろう、という担任の配慮により、跡部の隣ということになった。因みに、跡部の前は忍足である。

「跡部、教科書」
「あぁ?」
「ないから、見せてくれんかのう」
「チッ……ほらよ」

仁王にも見えるように、跡部は教科書を机の端に置く。
すると、仁王は机ごと跡部の方に移動してきた。
くっつけられた机と隣に座る仁王の存在に、違和感を覚える。まさか仁王と自分が同じ教室で授業を受けることになるなんて、想像もしていなかった。まぁそのうち慣れるだろう、と思って跡部は授業に集中することにした、が。
隣から視線を感じて、全く集中できなかった。
眉根を寄せて、けれども視線は前に向けたまま跡部は口を開いた。

「……、何だよ。まだ何かあんのか」
「テニスウェアもいいけど、制服姿もそそるのう」
「…………どこ見てんだよ」
「シャツから覗く鎖骨と脇腹」

机に肘をつき、その手に顔を乗せて。仁王はにんまり笑って跡部を見ている。
視線の先は、主に、首元。開いたシャツから覗く首、チラリと覗く鎖骨。
美味そう、と思っている仁王の心の声に気付いたのか、それとも身の危険を本能で察したのか、跡部は隠すようにシャツの首元を押えた。逃げるように引かれた椅子が、ガッという音を立てる。
真面目に授業を受けていると思っていた忍足が、くるりと後ろを振り向いてきた。

「あー、その気持ちよう分かるわ。ストイックな感じが余計に、な」
「そういうことじゃ。なんじゃ、忍足もなかなか良い趣味しとるの」
「そっちこそ、ええトコ見てるやん」
「………………大人しく黒板見てろよ、テメェら」




もしも仁王雅治が氷帝に転入してきたら。
跡部は毎日セクハラに困るに違いない。仁王と忍足の二段攻撃(笑)
窓際の一番後ろの席で、跡部と仁王が隣同士。跡部の前に忍足、という脳内設定。
2006,02,23
2008,09,21 改題